【特集】インタビュー

株式会社シダーリンクトラベル代表取締役小杉丈治さんインタビュー ~日頃抱いていた想い コロナ禍だからこそ仲間と共にカタチへ~

株式会社シダーリンクトラベル小杉丈治丈さん インタビュー

今回【エの輪】の特集「業界インタビュー」第2回目のゲストとして快くインタビューに応じて下ったのは、株式会社シダーリンクトラベルの代表取締役小杉丈治さん。主に国内BtoBの国内外旅行業務をおこなっており、一部インバウンド旅行の手配を行っている。春風吹くオフィスのベランダにて現状の取組みや新たな挑戦について語ってくださいました。
インタビューアー:カイトマウリ

旅行会社としての業態

カイトマウリ:旅行会社として業務されていると存じますが、具体的な業務内容を教えてください。

小杉さん:国内旅行と海外旅行両方しておりまして、割合は国内旅行が8 海外が2です。 国内は企業の社員旅行、イベント、出張でして、そこにインバウンドが1割あるかないかですかね。海外に関しては国内からの出張と視察です。
インバウンドのマーケットは主にアジアでベトナム、インドネシア、タイですかね。

創業そして経営者としての志

カイトマウリ:旅行業を創業されたきっかけを教えてください。

小杉さん:若い時からいつかはと思っていたのですが、まわりの方に独立したら?と言われたことやいろいろなタイミングが重なったことです。

カイトマウリ:タイミングは大事ですよね。創業当時どんな経営者になりたいと思っていましたか?また、創業当時ついて教えてください。

小杉さん:はい。経営者になるにあたって、自分が好きなことができる会社にしたいと思っていました。その時には人脈があったので、やりたいことはやれるのかなという自信はありました。ただ、周りからも言われていたのが1年は人をいれちゃダメと言われていました。人も雇わずに一人でやりなさいと。

旅行業ってだいたい1年で分かると言われていて、というのは皆、独立する際に自分は大丈夫だと思って独立する人が多いと思うのですが、実際、お客様は旅行会社についているのか、営業担当者についているのかが分からないですよね。

私は独立後、運よくお客様がついてきてくれていて、忙しい日々が続きました。眠れない夜もありましたが、1年間資金繰りも大変でしたが無借金でやることができました。その1年を通して、お客様がついているのが分かったので、取引先との信頼関係も築くことができ、会社が回るようになっていきました。

当初は知り合いの社長さんのオフィスを間借りさせていただいて電話と机を置かせて頂いていました。

カイトマウリ:そうなんですね。1年間たった一人で長く感じませんでしたか?

小杉さん:忙しくてあっという間でした。

カイトマウリ:無借金且つオフィスも間借りされてひとりで堅実にやられてきたんですね。

小杉さん:A型なんで(笑)

サークルの代表的役割で自発的な人材を育てる

カイトマウリ:創業して17年間やられてきてご自身はどんなタイプのリーダーだと思いますか?堅実派というのもあるかと思うのですが。

小杉さん:社員にも言っているのですが、仕事とプライベートだとやはり仕事の方が長いので、仕事が充実しないとプライベートも充実しないと思っているので、基本は好きな事をやりなさいと言っています。なので目標に向かって切磋琢磨するサークルみたいな感じでやっています。

カイトマウリ:若い人が成長していく為に、率先してやっていけるように、のびのびやれる環境を与えることができるリーダーですね。

小杉さん:そうですね、自発的な社員を育てる感じですね。社員にモーグルのオリンピック選手の候補生がいるのですが、冬の時期は居ないんです。その分、会社にいる時期はやりたいことをやってもらい仕事に貢献してもらっています。
だから、社内はいつも明るいですよ。

数ある旅行会社の中で、お客さまがどこを選ぶかという中で、この会社を選んでもらうのはひとりひとり社員が明るくないと商品にも影響がでてしまうので、やはり社員さんが楽しそうに仕事している楽しい雰囲気の会社にお客さまも依頼したいと思っていると思うので。

だから、社員は、好きな事をやっているという環境であれば、嫌なことがあってもそれを上回る何かがあれば頑張れるじゃないですか。だからそういった環境を与えられるように常に意識しています。

カイトマウリ:充実してもらうことが大前提ということですね。

小杉さん:そうですね。会社だけど、サークルという感じですね。勿論、何かあれば責任は俺がとるからというような。やはり私たちは夢を売る仕事じゃないですか?だから本人がイキイキして一番楽しんでいないと誰かを喜ばせる事はできないと思うので。

カイトマウリ:そうですよね。旅行は人生さえ変えてしまう可能性があるものですからね。

小杉さん:本当そう思いますね。自分たちは添乗で頻繁に訪れている場所かもしれないけど、お客様にとってはその場所は最初で最後かもしれないので、心掛けていることは弊社の場合は団体がメインなので全てのお客様に満足してもらうというのはなかなか難しいのですが、お客様が存分に楽しめるよう悔いのない添乗をしなさいと言っています。もちろん私自身もそれを意識しています。

添乗の際にも楽しく仕事に取り組んでもらえるように普段からひとりひとりの考えや、やりたいことを大切にしています。

実際、コロナの影響による売上の減少でオフィスも手放そうと思っていたのですが、「自分たちの給料を下げても良いから、このオフィスは維持してほしい」という社員の言葉に助けられて現在オフィスも維持しながら新事業に取り組んでいます。

カイトマウリ:感動的なエピソードですね。社員さんと信頼関係が築けている証ですね。

小杉さん:本当、うちの社員でありがとうという感じですね。だから、社員との関係性は普通の会社と違って割り切れないところがあるかもしれないですね。

カイトマウリ:社員以上家族未満という感じですね。

小杉さん:あっ、そんな感じかもしれないですね!!
最初入社してくるとフレンドリーでびっくりしていますけどね。
そういった環境の中で、好きな事をやりつつ、皆が同じ方向を向いて自然に会社が豊かに大きくなって良ければと思っています。

コロナ禍においての現状と変化

カイトマウリ:現在の事業はコロナ禍においてどのような状況ですか?

小杉さん:BtoBの出張以外はほとんど業務ないですね。積極的に集客もできない状況ですからね。

カイトマウリ:コロナ禍で小杉さんの中で変化したことはありますか?精神的な部分や社会に対しての考え方など変化などはありましたら教えてください。

小杉さん:自分はポジティブに考える方なので、コロナ禍で大変だなって思うのですが、何か自分の中でやりたいことを逆にやれるきっかけになりましたね。なぜかというと、コロナ前まで正直ちょっと見失っていたのです。

うちの根本的な考えは、お客様の為にどうしたら喜んでもらえる旅行が提案できるだろうかというところだったのですが、日々の忙しさに追われてある意味流れ作業のようになっているのがだんだんと嫌になってきていました。それでも会社自体は順調な状況でもあったのでなかなか足を止めることが出来ませんでした。

でも、そんな中で、コロナ禍にはいり一旦まっさらな状況で仕事が無くなったので、見つめなおす機会になりました。
勿論、お金は大変ですが、今までの反省点や今までにないものを考えたり。それから、弊社はBtoBでやってきたので団体旅行は強いのですが、BtoCの個人旅行が弱いので、個人向けにSNSとかそういうもので旅行が提案できないかどうかなどいろいろ考える時間ができたので、そういう意味ではこのコロナというのは良く捉えれば、前向きな考え方ができて、コロナが収束したら、今までの団体のお客様と新たな個人のお客様も参加可能な商品もプラスになって仕事ができるので考えただけで楽しくなりますね。

カイトマウリ:それは、本当に楽しみですね。

新たな取組みへの出発

カイトマウリ:現在新たに取り組まれている、個人のお客様も参加可能な新たな商品の造成について教えてください。

小杉さん:はい。オンラインツアーを現在、入社2年目の若い社員を先頭に色々と頑張って進めています。彼はSNSなどのインターネットの事についてとても長けているので任せています。商品化してぜひ他の旅行会社さんにも利用していただきたいと思っています。初めてやるものは本当に大変だなと思いますが、多くの観光施設さんなどを巻き込んで、ライブとリアルなコミュニケーションを大切にしたオンラインツアーを造成中です。

カイトマウリ:そのオンラインツアーのマーケットは個人のお客様と企業様ということですね。

小杉さん:はい、新たなBtoCと既存のBtoBのお客様ですね。
今はまだツアーが完成していないにも関わらず参加を楽しみにしている企業のお客様も既にいるんですよ。

カイトマウリ:それは嬉しいですね。

過去から温めていた想い

カイトマウリ:新事業のオンラインツアーをはじめるきっかけはどういったことからですか?やはりコロナの影響は大きいですか?

小杉さん:実を言うと、もともと弊社は高級老人ホーム、病院施設、介護施設などの販路があったのですが、こんな状況ではあるし、身体のことも考えたら徐々に旅行もむずかしくなってきてしまうので、オンラインツアーは前からやりたいと思っていたのです。最初はVRツアーにしようと思っていたんでがそれはちょっと方向性が違って。今はオンラインツアーをやられている旅行会社さんも多いのですが、録画だけのものだったり、ライブツアーであっても、お店やその観光地だけだったりというものが多いのですが、きちんとしたバス旅行らしく『リアルな日帰りバス旅行している!』と感じてもらえるように努力しています。

コロナが収束しても身体の不自由な方や一時外出ができない方も多いのでそういったお客様向けにちゃんと継続して販売できるのでコロナ禍だけといった感じでもない商品です。

カイトマウリ:なるほど。コロナ禍においてリアルなツアーの代替としてオンラインツアーをやられている企業も多い中、アフターコロナにも対応している商品ということですね。

小杉さん:はい。実際はコロナ前からやりたかったのですが、コロナを機にちゃんとカタチにできる時間ができたといった感じです。

カイトマウリ:まさにピンチをチャンスに変換ですね。

新事業に対してのビジョン

カイトマウリ:新事業のオンラインツアーに期待する事や目指すビジョンなどを教えてください。

小杉さん:今まではあまり旅行会社同士の横の繋がりは無かったのですが、旅行の営業が積極的にできないこの時期だからこそ、そういった旅行会社にこのオンラインツアーを活用してもらえればと思います。また各観光施設さんがこのコロナ禍を乗り越えて継続して運営していけるようになれればと思います。それから、日本の伝統芸なんかもやはり忘れ去られないように廃れないようにオンラインツアーならではのコンテンツも提供していきたいです。皆がWin-Winでいければと思います。

カイトマウリ:団結ですね。

小杉さん:そうですね。もうこういった状況なのでとにかくいっそうお互い助け合っていかなくてはならないですね。インバウンドに関しても今後オンラインツアーを販売できればと思っています。

業界への期待 そして大切にしていきたいこと

カイトマウリ:今後の旅行業界に期待することはありますか?

小杉さん:やっぱりこれからはインターネットの社会なので旅行もインターネット(OTA:オンライントラベルエージェント)利用者が多くなっていると思うので、生き残るためにはインターネットも選択肢に入れていかなくてはならないと思っているのですが、対面で話して旅行を共に作り上げていくというのも日本ならではという感じがするのです。ですから、それも大事にしつつインターネットにも両方比重をおいていくという形でやっていかないとこれから先はなかなか難しいのではないのかと思います。

団体旅行に関しても、OTAの方が安いというものもある中で、OTAではない商品にはOTAには出来ない様々な付加価値を付ける。例えば、実際に対面で話しをしているとやはりインターネットではできない詳しい話や提案ができることもある。それによってお客様の満足度はかなり変わってくる。

正直、インターネットだけだと旅行会社的にはやはり寂しいのかなと思う部分もありますからね。

カイトマウリ:活字だけでのやりとりだけでは寂しいというのはありますよね。

小杉さん:そうですよね。リアルの場で顔を少しでも合わせるだけでも全く違うこともあるので。コロナ前ですが、インターネットで社員旅行の依頼が入ってきても一度顔を合わせたほうがやりやすいと思うのですが良いですか?と尋ねると良いですよって言ってくださったりするので、最低でも一度は顔合わせるようにしています。

どうしても会えない時は、お見送りだけでも必ず挨拶に伺わせていただいています。

カイトマウリ:やはり温かみが伝わると違いますよね。

小杉さん:そうですね。うちは大概口コミが多いのですが、新規はインターネットからのお客様なのでそういう意味ではインターネットも大切だと思います。でも、インターネットからのお客様もなるべく顔を合わせられるようにして、旅行の提案ができるのが理想です。いずれにせよ、お客様人数や規模に関係なく口コミとコミュニケーションは大切にしています。

カイトマウリ:価格というよりは、人間味というところですね。

小杉さん:あ~そうですそうです、うちは本当にそれです。うちはそれを本当に大切にしています。

カイトマウリ:テクノロジーが進んでも、人っていいなと思ってもらえるのがいいですね。とはいえ、インターネットもうまく活用していきながらバランスよく業界的には積極的になっていただけることを期待したいという感じですね。

小杉さん:そうですね。

座右の銘

カイトマウリ:最後になりますが、小杉さんのビジネスにおける座右の銘を教えてください。

小杉さん:「人生いろいろ」ですよ。(笑)
本当いろいろですよ。色々な事がたくさんありますし、ありました。結局色々な事があってもポジティブに成長していけます。でもそれもいつも助けてくれるのはお客様なんです。だから常にお客様に恩返しできるように徹底していますね。

株式会社シダーリンクトラベル
https://www.cedarlink-travel.com/

オンラインツアーについてのお問い合わせ
https://www.cedarlink-travel.com/cr_news.php

編集後記

楽しい雰囲気で進んだインタビュー中、社員さんに対しての温かい想いを要所要所語っており、愛情に満ちあふれていることを感じました。そして、その愛情をしっかりと受け取った社員さんが会社に懸命に応えようとしている姿勢が今回の新事業であるオンラインツアーの取り組みによって伝わってきました。

このままでは本当に観光業がダメになってしまう、手遅れになる!という危機感を肌でとらえつつ前向きに且つ積極的に今回のオンラインツアーを造成している。新事業は自社の為だけではなく、旅行・観光業界全体で取り組みが可能なように試行錯誤しているという。皆が生き残らなければ意味が無いという前向きさと温かさ、そしてオンラインツアーを心待ちにしているお客様への誠実さにあふれていました。

小杉さんの言う“人生いろいろ”は前向きな言葉に感じられた。人生において起きるいろいろとは人生を彩る出来事と捉え、のびのびと、都度チャレンジしカラフルな未来や可能性を描き社会貢献という花を咲かすことができるのだと。
(取材/文/写真)カイトマウリ

ABOUT ME
カイトマウリ
航空会社勤務の後旅行会社などを経て現在のJOINT ONEにてライターを行う傍ら、インバウンド(訪日外国人旅行)に関わる広告代理業務及びFAMツアー時のアテンダー、旅程管理、コーディネーター、一般インバウンドツアーガイドを兼務。 また、インバウンドONE(jointone.biz)のFacebookページ(https://www.facebook.com/jointone.net)では、毎週選りすぐりのインバウンド観光関連ニュースやその他、関連ニュースなどにFACEBOOK限定で独自の一言コラムを執筆。