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鉄道とアニメの切っても切れない関係 はじまりは昭和4年だった…

ニュースでコラム20210118

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近頃のアニメには、鉄道がよく出てくる。映画「君の名は。」には、東京都心のJR線や東海道新幹線、高山本線など数多くの鉄道が登場した。2018年には、JRグループ公認の変形ロボットアニメ「新幹線変形ロボシンカリオン」が放送された。2020年には西武鉄道で、国民的アニメ「ドラえもん」とタイアップした電車が走り始めた。

アニメと鉄道がなぜ親和性が高いのかを、本書「アニメと鉄道ビジネス」はさまざまな事例で解き明かしている。著者の栗原景さんは、フォトライター、ジャーナリストで、「東海道新幹線沿線の不思議と謎」(実業之日本社)などの著書がある。

「アニメと鉄道ビジネス」(栗原景著)交通新聞社

弾丸よりも速く走るエイトマンが新幹線を抜き去る!

アニメと鉄道の関係を歴史的に振り返れば、初の国産鉄道アニメは1929(昭和4)年の「太郎さんの鉄道」という作品だ。父親に汽車のおもちゃを買ってもらった太郎さんが、動物たちが乗り合わせる汽車の車掌になるという夢を見るという内容。車内マナーが紹介されているという。

セル画ではなく、切り紙を使ったアニメで、当時の蒸気機関車や客車が写実的に描かれているそうだ。

戦後、1963(昭和38)年、手塚治虫原作の「鉄腕アトム」が放送された。この年に始まった桑田次郎作画の「エイトマン」のオープニングに、東海道新幹線が登場していると紹介している。

弾丸よりも速く走るエイトマンが新幹線を抜き去るシーンが有名だ。まだ新幹線の開業前だったが、試作車両が精巧に描かれているという。

鉄道とアニメがコラボレーションした第1号は1979(昭和53)年から始まった松本零士原作の「銀河鉄道999」だ。蒸気機関車全廃に伴うSLブームに乗り、C62型蒸気機関車の姿をした999号のリアルな姿に注目が集まった。

その後、リアルロボットのアニメブームが到来。「機動警察パトレイバー」では、地下鉄銀座線の新橋駅のホーム跡など東京都内の実在する場所が描かれた。

「聖地巡礼」の始まり

鉄道がアニメにリアルに描かれるようになる。スタジオジブリの高畑勲の「火垂るの墓」には阪急電車が、「おもひでぽろぽろ」には上野駅や寝台特急が登場した。こうした手法は1995(平成7)年公開の近藤喜文監督作品「耳を澄ませば」に受け継がれ、舞台となった京王電鉄の聖蹟桜ヶ丘駅周辺には多くのファンが集まるようになった。「聖地巡礼」の始まりである。

観光地でもない場所に、突然多くの人が訪れるようになり、鉄道会社も注目するようになった。「涼宮ハルヒの憂鬱」「らき☆すた」「けいおん!」などの作品によって、アニメが現実の風景をモデルにすることが定着。知名度の高い鉄道はロケ地のシンボルになり、ラッピング電車の運行や記念乗車券の販売などによって、多くの人を惹きつけるようになった。

著者の栗原景さんは「鉄道は誰もが知っているインフラであり、その地域の特色や時代性、生活を表現するのに適している。その作品がどんな街を舞台にし、どんな人々が生活しているのか、想像しやすくなるからだ」と、アニメと鉄道の関係をとらえている。

そうした中で、2018年に始まった「新幹線変形ロボシンカリオン」は、新幹線を運行するJRグループ5社が全面協力し、H5系はやぶさ、N700Aのぞみ、新800系つばめなど実在の新幹線車両がロボットとなって、謎の敵と戦うというストーリーだ。

長期的に見れば、少子高齢化によって輸送量が頭打ちになることは避けられない。鉄道以外の事業収入を増やしたいというJR東日本がゴーサインを出して、2015(平成27)年、まずプラレールの新商品としてシンカリオンは発売された。すぐにアニメ化を急がず、JR各社と丁寧に交渉し、JR北海道、JR西日本、JR九州、最後にJR東海が承諾。満を持してアニメ化された。

物語には新幹線沿線を中心に全国の駅や町が登場する。全76話にわたってロケハンを行い、各地の風景を正確に再現している。敵である巨大怪物を閉じ込める「捕縛フィールド」を設定。駅や街を破壊しないよう、制作はJRに配慮されている。

子どもだけでなく、大人までをファンにしたコンテンツだ。

西武鉄道オリジナルアニメ「ちちぶでぶちち」

このほか、本書では全国に16社ある大手私鉄の中でもアニメとの関係が深い西武鉄道に1章を割いて取り上げている。

複数の事件をきっかけに、より地域に密着した鉄道会社としての再生をめざした同社。沿線にはアニメ関連会社が多いことに着目、2008(平成20)年に「機動戦士ガンダム」の銅像が西武新宿線の上井草駅に設置された。

東映アニメーション大泉スタジオがある練馬区も動き、「銀河鉄道999デザイン電車」が、2009(平成21)年から西武池袋線を中心に走り始めた。

埼玉県の秩父市もこの流れに乗った。アニプレックス制作の「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」は西武鉄道が登場するアニメだ。そして、とうとう西武鉄道自らオリジナルアニメを制作した。25分間の作品「ちちぶでぶちち」である。訪日外国人を対象にしたものだった。

このほかにも「新世紀エヴァンゲリオン」とJR西日本・山陽新幹線とのコラボ、「ガールズ&パンツァー」、通称「ガルパン」と鹿島臨海鉄道大洗鹿島線とのコラボの例を紹介している。「鉄道のもつフォトジェニックなビジュアルと信用力が、作品とファン、そして時に地域の人々を結びつける役割を果たしている」と、栗原さんは書いている。  コロナ禍で、運行本数の減少が始まった鉄道各社。乗客の減少に伴う収入減は避けられない見通しだ。鉄道以外の事業収入を増やすという観点から、今後ますます鉄道とアニメの関係は深くなるかもしれない。

出典:JCAST 会社ウォッチ 2021年1月17日
https://www.j-cast.com/kaisha/2021/01/17402858.html?p=all

 

コラム

上記にあるように、昔からアニメと鉄道を描いたものは多く世の中に出版され愛されてきました。アニメの他、CMや2時間サスペンスドラマなどストーリー展開や臨場感ある場面の想像を掻き立てるような描写がされています。

観光との関わり

アニメ × 鉄道 は観光とも切っては切れない関係性であり、観光地との絡みで景色や名産品と列車が映れば同時に訪れたくなる観光候補場所として視聴者にとっては残ることも。現在ではフィルムコミッションといった手法で各自治体が訪日外国人を誘致するために、人気のアニメやドラマなどの撮影場所としてPRすることも多くなり定着しつつあります。また、日本の観光地で撮影を行う海外メディアも増えました。もちろん、外国だけではなく、国内のファンにも人気の巡礼ツアーはあるほどです。

実際にドラマやアニメで使用した場所に身を置くとなんとも言えない感動があり、そこにその主人公が立っていた場面を想像し自身もそのストーリーに入り込んだかのような錯覚を得られるようです。鉄道の車窓から見た景色がアニメやドラマの主人公やその他のキャストが見えていたものを同じように見ているという「答え合わせ」を楽しむファン(観光客)もいます。好きなアニメキャラクターのコスプレで訪れ、なりきり記念撮影をするなど様々な楽しみ方があるようです。また、そこでしか手に入らないアニメグッズなども遠方から訪れ購入するファンもいます。

インバウンドプロモーション

弊社にて聖地巡礼の訪日外国人プロモーションを行った際も日本のアニメが好きなインフルエンサーに参加していただきましたが、二次元やテレビを通して観た違いや現地の景色と全く同じ描写などに興奮し感動していました。彼らが発信する情報は各国の日本アニメやドラマファンにも実際に影響を与えています。

鉄道 × アニメ(またはドラマやCM)=ストーリーのある観光プロモーションとしてとても強いコンテンツであることが伺えます。

まとめ

大切な景色を残そうと地域地元住民の方々が一丸となり守る姿勢が無ければ列車の必要性も無くなってしまう。そして、列車を利用し訪れる場所をもっとファンの方に楽しんでいただきたいと試行錯誤し街の活性に力を入れています。またファンの多くも変わらない景色の為に応援し相乗効果を起こすこともあり、様々な良い波紋を広げていきます。そういったことから列車とアニメは失ってはならない重要な観光ビジネスなのだと考えさせられます。

ABOUT ME
カイトマウリ
航空会社勤務の後旅行会社などを経て現在のJOINT ONEにてライターを行う傍ら、インバウンド(訪日外国人旅行)に関わる広告代理業務及びFAMツアー時のアテンダー、旅程管理、コーディネーター、一般インバウンドツアーガイドを兼務。 また、インバウンドONE(jointone.biz)のFacebookページ(https://www.facebook.com/jointone.net)では、毎週選りすぐりのインバウンド観光関連ニュースやその他、関連ニュースなどにFACEBOOK限定で独自の一言コラムを執筆。