2021年末から拡大した新型コロナウイルス変異株のオミクロン株も落着きはじめ、まん延防止等重点措置も各地で解除され、同時に春の暖かさや季節の移り変わりを感じることができるようになりました。
関東では、まん延防止等重点措置解除当日に、節電や一時は停電を求められるかもしれない状況に直面しましたが、どうにか切り抜け営業を続けることができているお店も多く見られています。
新型コロナウイルスの世界的な流行と言われたパンデミックには終わりを告げ、既にエンデミックへの移行が各国では見られます。
日本を含む各国のエンデミックを視野に入れ、インバウンド旅行の再開を考察していきたいと思います。
エンデミックとは?
TVやラジオなどのメディアで、もっとも聞いたであろう、警戒心や恐怖を感じる“パンデミック”という言葉、その他にも感染症に関しての段階的な言葉を最近はよく耳にするかと思います。
パンデミックは世界的大流行
エピデミックは一定の期間や地域に通常の数値以上に流行すること
エンデミックは一定の季節または風土で日常的に繰り返し流行すること
とされているようです。*諸説あり
現状、筆者の勝手な肌感ですが、街(東京都内)を歩く限りマスクや消毒などの感染注意を除けばエンデミックに向けて動き出しているように感じています。
各国のエンデミック(季節性・風土的流行)への動き
タイ
4月1日以降の入国について渡航前PCR検査義務を撤廃。7月にはワクチン接種の有無にかかわらず入国前や到着後検査義務を撤廃し エンデミックへ移行の動き。
マレーシア
4月1日に入国隔離を撤廃 エンデミックへ移行
新型コロナワクチン接種を2回完了していれば国籍問わず入国後の隔離が不要。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/03/31c9bd216fc2988f.html
インドネシア
新規感染者数は1日当たりで4千~1万人台で推移している中、保健省はパエンデミック(風土病)から抜け出すための指標を発表し、政府は出口戦略の策定へ。
https://www.jakartashimbun.com/free/detail/58728.html
フランス
入国において、ワクチン接種済みは特に何も条件は無く、未接種者のみ72時間以内のPCR検査または48時間以内の抗原検査陰性証明、もしくは、罹患した際の諸条件による検査結果。到着後の検査や隔離は不要。
在フランス日本国大使館
https://www.fr.emb-japan.go.jp/itpr_ja/oshukarafrancenyukoku202101.html
イタリア
3月31日をもって、緊急事態宣言解除へ。5月1日からグリーンパス提示および閉鎖された空間でのマスク着用義務が解除。
欧州では、既に入国条件の緩和がされており、スイスやドイツ、イタリア、フランスはエンデミックへの移行へ向け規制緩和をしていると考えられます。
ブラジル
ボルソナロ大統領は16日、「今月中に保健省がエンデミックに入ったとの省令を出す」と発言した。
https://www.brasilnippou.com/2022/220319-12brasil.html
アメリカ
米モデルナ共同創業者のヌバー・アフェヤン氏は、新型コロナウイルスは年内にエンデミックへ移行し始める可能性があると発言。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-01-14/R5P8W8T0AFB401
ワクチン接種率は日本よりも低いものの、感染に気を付けつつマスクオフで生活をしている様子も多く見られ、自然にエンデミックへ移行しているようにうかがえます。
日本
“インフルエンザのように感染に注意し社会活動を回す「エンデミック」である”と政府に早急に宣言を求める動き。
【経団連】政府に“エンデミック宣言を” 出口戦略への舵切り求める 新型コロナ
このように、多くの国がエンデミックへの移行に意識を向け準備を進めていることが分かります。また、各国の国内旅行は基本的に自由に動きだしていることもあり、それをケーススタディとしながら外国人旅行者の受入について出入国の規制緩和に活かされているのではないでしょうか。また、日本に比べ諸外国は早期段階で積極的に規制緩和を段階的に行っていることもあり、様々なデータを得ることができているはずです。
日本のインバウンドの再開はいつ?
現在日本は外国人旅行者の受入は未再開であり、且つ国内旅行もFITを除いて正直あまり動いておらず、特に中小旅行事業のメインである団体旅行においては致命的な状況が長期にわたって続いています。お客様も旅行・観光事業者も共に感染者数のアナウンスに毎度反応し「また無理だ」「キャンセルだ」と諦めや嘆きの言葉を聞くことが多いです。
感染者の数字が呪縛のようになってしまい、正しい判断が出来なくなってしまっているように思えます。
受入れ側も、旅行事業者も、お客様も 単に“感染者が多いからやめよう“という判断では今後日本の新型コロナがエンデミックとなっても状況は変わらないのではないでしょうか?
正しく恐れて正しく予防し旅行を楽しむことが国内旅行の活性化に繋がり、日本のインバウンドの再開を近づけていくものと思われます。
先日の全国知事会でもインバウンド観光再開に向けてのロードマップを示すよう求めていました。
観光支援、感染防止策と両立を 新型コロナで提言―全国知事会
https://www.jointone.biz/archives0120220325/
2022年3月18日 和田長官会見要旨
国内旅行・GoTo・インバウンド観光などについて
https://www.mlit.go.jp/kankocho/page01_000688.html
訪日モニターツアーの実施を早急に行いケーススタディおよびブラッシュアップしていくことで諸外国のように訪日外国人旅行客の受け入れに向け前進させることが可能ではないのかと考えます。また、3月14日から観光目的以外の外国人の入国上限が7,000名に引き上げられたことからもインバウンド観光再開に向けてのデータを得ることが予想されますので、そういった部分からもエンデミックへの移行についても今後更に議論されていくものと考えられます。
まとめ
関東圏では、まん延防止重点措置が21日に解除され、桜の開花や卒業というイベントもありまさに観光シーズン。解放感からのリベンジ消費など経済の動きも考えられますがエンデミックへの移行が明らかにならない限りは、「また自粛生活が来るのでは?=経済的に困難になるかも?」という考えからなかなか脱却できない面も考えられ、“今”を楽しむことが出来ない日々が続いてしまうかもしれません。
そういったことから負のループを生み出さない為にも、今後の流れを早急に明示していくことはとても重要なこととなるでしょう。
この感染症が人類の生活に対してのタクトになってはならないのですから。