2022年が明け、今年こそはインバウンドが再開され賑わいを取り戻したいと誰もが思い過ごしているかと思います。
必ずやってくる訪日外国人旅行者の再開に向けて着々と準備をしている事業者も多く、各地で観光地のブラッシュアップを行い世界に続々と発信していることが見受けられます。
折角ブラッシュアップするなら、新たなファンの獲得もしたいと思いませんか?
今回はそのブラッシュアップにリマインダー的要素として考察していきたいと思います。
テロワールツーリズムで日本各地が湧く!?
テロワールとは?
フランス語で「土地」を意味する。主にワイン用語として使用される。その地域や気候、特性・特徴を指す言葉。日本国内では主に日本酒や日本で生産される酒全般に使用されることが多い。ツーリズムとしては『その土地のオリジナリティを価値として前面にした旅行』という意味合いで用いられる言葉です。
旅行や観光はそもそもテロワールであることが多いかと思いますが、そのオリジナリティを掘り下げて新たな旅行者やファンそしてリピーター獲得に繋げることが可能です。
また、他県との共通コンテンツの中に各地域のオリジナリティを見いだし、広域周遊観光というスタイルで世界に発信することも可能です。
例えば、アニメツーリズムでは、アニメの舞台となった地域や場所をコンテンツ化し、各地が持つオリジナリティを活かしアニメファンの獲得に繋がっています。
それでは、他にはどのようなコンテンツが考えられるのでしょうか?
『酒』×『神社』
上記の通りテロワールとは主にワイン用語として使用される言葉ですが、日本では日本酒をはじめ焼酎・ワイン・ウイスキー、その他リキュールなど多種にわたり酒造りをしています。
テロワールの意味からすると、その土地に根付いた特性や特徴を生かし製造するお酒は特に外国人旅行者にとっては見過ごすことができないコンテンツのはずです。
特に、『日本酒』は古くから伝わる日本のプライドと言える酒のひとつ。また、日本酒は神様にお供えするほか、祝いの席や祈祷の際など「お清め」として口にすることも多く、清酒とも言いますよね。そして、日本酒を造ること自体が「神事」とされています。
各地の神社で様々な銘柄の酒樽が並び奉納されている光景を見ますが、それもその土地によって製造される酒の違いなどを知ることができます。最近ではワインなどの日本酒以外の酒樽も見受けられ大変興味深いです。
日本を知るうえで欠かせない『酒』×『神社』。これはその土地に根付いた、とてもディープなテロワールツーリズムだと思います。
さらに、酒の種類や製造方法、使用している材料など同じ地域でも異なるため「知れば知るほど沼」というような虜になってしまう旅行者も多いのではないでしょうか?
ちなみに、日本酒の起源は、2000年ほど前の弥生時代とされておりますが、日本神話では須佐之男命(スサノオノミコト)がヤマタノオロチを退治する際に使用したことでも知られています。須佐之男命が使用した酒の製造方法は今でいう日本酒と同じと言われているのです。
そう考えると、とてつもなくはるか昔から『日本酒』が存在しており、日本を支えてきた強力な伝統のひとつだということが伺えます。
『食』×『風土』
テロワールツーリズムに欠かせないものとして、当然ながら食事の存在も大きいです。
寿司ひとつとっても、地域によって通常流通されていないネタがあるなど、日本人でさえ驚くこともあります。
その土地ならではの料理や食材、そしてそのヒトサラ(一皿)に込められた思いや歴史など、他の地域にはない唯一無二の存在があるはずです。
『風習』×『人』
その土地に住まう人々の歴史や言い伝え・風習など、方言でさえ同じ県内でも違うように様々な違いがあるはずです。
普段何気なく生活している中で当然だと思っていることが他県では初耳だったり、場合によっては奇妙にとられたりなど不思議なこともあります。
それこそが興味をそそられる、心情から訪れたいという探求心へと変化していくことでもあります。
まとめ
新年のお正月番組で地酒の紹介をしている番組がありました。筆者は初めて知る酒の存在やそれにまつわる話などにとても興味をそそられ、訪れてみたいもっと知りたいという気持ちにさせられました。旅行のきっかけはこういった好奇心から始まるのだと思います。
好奇心をくすぐられるテーマというのは今後SIT(Special Interest Tour:スペシャルインタレストツアー/特別な目的を持った旅行(者))が加速するであろう観光業界において非常に重要な発信内容になると思います。そして、同時にそのテーマのプロフェッショナルの育成も必要です。
各地のテロワールが集結した日本はとても魅力的で一度訪れたら終わりのない旅になることに気づかされ魅了される。そんな観光立国になるために、今一度各地のテロワールを明確にし、プロモーションをしてみてはいかがでしょうか。