ニュース:「日本人はヤバい」オーストラリア人が「日本のうなぎ」を食べて「衝撃の感想」を漏らした理由
コロナ禍において、3年以上に及び外国人観光客の受け入れが停止するなど「観光立国」日本にとっては厳しい環境が続いていましたが、日本政府観光局(JNTO)によると、2023年2月の訪日外客数は147万5300人。2022年2月の1万6719人に比べると、インバウンド需要が急激に回復へと向かっていることが分かります。
日本へやって来た観光客たちから熱い視線を浴びているのは、やはり「食」。観光庁「訪日外国人消費動向調査」(2019年年次報告)によると、訪日外国人観光客が「訪日前に期待していたこと」の第1位(69.7%)は「日本食を食べること」とあり、食への高い関心がうかがえます。
日本の魅力を発信!
そんななか、道行く外国人観光客に声をかけ、とっておきの日本食を堪能してもらう――そんなYouTube動画「Momoka Japan」が人気を集めているのをご存知でしょうか?
「日本に来て1日目!初めて食べる日本食に感動が止まらない」
「街行く外国人に初めてたこ焼きを食べてもらったら」
「外国人がすき焼きを初めて食べた反応」
興味をそそるタイトルと、海外のみなさんが日本食を美味しそうに食べる姿から、見ると思わず笑顔になってしまう動画の数々はなんと550本以上。総再生回数は2億回を超え、チャンネル登録者数は現在59.7万人(2023年4月17日時点)と、注目度が急上昇しているんです。
Momokaさんの動画で登場するのは、必ずしも高級な料理ではなく、トンカツやお刺身、肉じゃが、駄菓子など日本人にとって親しみ深いものばかり。普段当たり前のように食べているものが、海外の方にとっては実に新鮮で心から楽しんでいる様子に、あらためて驚かされるとともに、日本の良さを再確認することができます。
動画を作成するにあたって、Momokaさんは新宿や渋谷など、海外観光客の多いエリアで出会った方々に英語で直談判。OKがもらえたら、一緒におすすめのお店へ向かいます。見ず知らずの、それも外国人に話しかけるのはなんとも緊張しそうですが…。
「恥ずかしがらずに、がんがん声をかけちゃいますね! この英語おかしいかな?なんてことは考えず、まずは話してみます。私がバリバリの関西人なことも関係あるかもしれませんが…(笑)」(Momokaさん)
待望の日本初日!
今回紹介するのは、動画「日本に来て1日目! 初めて食べる日本食に感動が止まらない」
に登場したオーストラリア人のカップル、ベン&フィービー。 渋谷を探索していた2人は、日本に着いてまだ一日目。「こっちで何か食べた?」とMomokaさんが尋ねると、フィービーは「ランチにラーメン食べに行っただけ。だからこれから何を食べるのか楽しみ~!」とるんるんです。
そんな彼らにMomokaさんが告げたのはーー。
「これから2人には、日本のうなぎを食べてもらうよ」
そう、今回登場するのは、「うなぎ」! 土用の丑の日にはうなぎ屋もスーパーも大賑わいする、日本人のソウルフードです。
「あんなの絶対美味しくない!」
しかし、オーストラリア人のベンとフィービーはそれを聞いて絶句…。
「Japanese eel!?(うなぎ!?)」
と思わず叫んでしまいます。
「うなぎ…食べたことある?」
「ないないないない!!」
「オーストラリアでは食べない?」
「食べるわけないじゃん! あんなの絶対美味しくない! うなぎって食べられないと思ってた…」
どうやら2人はカルチャーショックを受け、「ヌメヌメしてるんじゃない?」「もしかしてドッキリしかけてる!?」と本気でおびえてしまったようです。
おしぼり最高!
とはいえこれも何かのご縁…勇気をふりしぼってベンとフィービーはMomokaさんに連れられてうなぎ屋に入店することに。和の趣向が凝らされた店内に沈んでいた気持ちはみるみる高鳴ってきます。
まず驚いたのは意外にも「おしぼり」。「食前に手を拭くおしぼり。日本では普通やで」とMomokaさんが説明すると、「あったかい!」「これ最高の体験じゃん!」と大絶賛でした。
宝箱に入ってる!!
じつはフィービーは日本に来たのは2回目。
「4年前に家族旅行で一度だけ日本に来てそれで日本が大好きになっちゃった。日本の文化ってアメージング! 別世界って感じ。ベンにはいつもその話を聞かせてたの。初めは乗り気じゃなかったんだけどでも説得した」(フィービー)
その熱意がベンの心を動かしたといいます。
「きっと文化が違うからビビってたんだ。でも最近は日本に早く行きたくて待ち遠しかった。日本に来て良かったと思うよ」(ベン)
「日本人ってすごく優しいし、食べ物は絶品! …うなぎのことはまだ分からないけど…」と期待半分、不安半分な彼らのもとへ、とうとう「うな重」が到着しました。
漆塗りの重箱を見て2人は目を輝かせます。
「えっ、これが…!? なんか宝箱みたいなのに入ってんじゃん!!」
待ちきれないとばかりに蓋を開けると、ふんわりと香ばしい、なんともいえない良い香りが立ち込めます。
「これがうなぎ!? いいにおい!」
「全然魚臭くない! うなぎめっちゃ高級じゃん!!」
とテンションが爆上がり状態に。「あの裏の池にウジャウジャいるやつでしょ? あいつら高級食材だったの!?」と衝撃を受けている様子。
まさかこんなに美味しいなんて…
それではいよいよ実食です!
ほくほくのうなぎと、たれのしみ込んだご飯を口に運ぶとーー。
「んっ! んんっ! マジかこれ、すごいおいしいじゃん!!」
「お口に入れた瞬間とろける…。これが一番おいしい魚なんじゃない…?」
と、とろけるおいしさに箸が止まりません。
Momokaさんから、うなぎが日本でとても馴染み深い存在であると教えてもらったベンとフィービーは思わず納得。
「オーストラリア人はなんでうなぎ食べないんだろう」(フィービー)
「まさか食べられるとは思わなかったのかな」(ベン)
その後も、きゅうりの浅漬けやお吸い物、お通しのごぼうなど、はじめての「うなぎ屋体験」に感動が止まらない2人。
「恐れる必要なんてなかったんだね。うなぎを教えてくれてありがとう。あなたがいなかったら、一生うなぎを食べてなかったわ」と熱烈に語るフィービーに、この出会いに感謝!とMomokaさんもにっこり。忘れられない「日本1日目」になったのでした。
* * *
恐る恐る挑戦した「うなぎ」に大感激してくれたオーストラリア人のお二人。勇気を出してくれてありがとうと、こちらまで嬉しくなってきますね。さあ、私たちも日本の良さを探しに行きませんか? 次回もお楽しみに!
稲谷(漫画家) 漫画で読みたい方はこちらから
出典:現代ビジネス 2023/4/18
https://gendai.media/articles/-/108812?imp=0https://yakushima.keizai.biz/headline/641/
(参照 2023/4/21 18:00)
コラム
日本に旅行へ来たら楽しみたいものの上位に挙げられる「日本食」。日本食は外国でも定番となっているラーメンや寿司、天ぷらなど以外にも、地域や文化・伝統によって日本でしか味わえないものが多様に存在しています。上記のように外国人旅行者が嫌えんしつつも一口食べて、ドはまりするような「うなぎ」好きの外国人も多く存在していますし、中には、「鯨」のように外国人からバッシングを受けるような料理や食材もあります。しかしながら、日本は独自の文化と伝統を重んじてユネスコ無形文化遺産でもある「和食」という文化を貫いてきました。
だからこそ、重要なコンテンツである日本の「食」を、正しい情報とともに、きちんと誤解なく(または誤解を解くために)世界へ伝える事が日本の情報を発信する側の責務であると感じています。
一見、リスキーであっても、日本の食文化としてブレない姿勢で真実の発信に取り組んでいる素晴らしいメディアやインフルエンサーも多く存在しています。こういった事は、訪日外国人旅行者(特にリピーター)にとって、重要なポイントとなっていくでしょう。
世界は広いと思いつつも、実は狭く、そして現代の情報網の多さによって情報は歪んで伝わってしまうことが多いのも事実です。
日本の食文化は日本のものであり、外国のものではありません。日本の食文化を発信する方は、事実に誇りを持って今後も活躍していって欲しいと願うばかりです。
食文化も多様化している現代の日本では、「和食」離れも危惧されていますが、上記の「うなぎ」のように”嫌えん”→”満面の笑み”に変化して日本の食に”ドはまり”してくれたら、外国人に限らずとても嬉しいことですね。そして、次世代へと繋ぐことが大切です。